張禧嬪(チャン・ヒビン)に死罪を命じた粛宗(スクチョン)に高官が大反対!

究極の決定権

粛宗はできるだけ感情を抑えて言いました。
「君たちが、世子のためを思っていることを余が知らないわけではない。ただ、今後の国家のことを心配しているのだ。世子は善良で孝行の心が満ちている。ただ、その母親は悪徳の人物なので、生かしておくとわざわいがますます手に負えなくなってしまう。そのことが恐ろしいだけだ」
ここまで粛宗が言っても、その高官は食い下がりました。




「聖上(粛宗のこと)が固執しているのは義理であり、臣下の者たちが申しているのは人情です。私どもは、公私と恩義の違いがわかっておりますし、法を守ることと恩を大事にすることが両立できないことを知らないわけではありません。もちろん、殿下の深き心配も知っております。とはいえ、後日の心配は、まだ起こっていないことに対する心配であり、今日のお願いは目前のことに対する心配なのです」
話は完全に平行線となりました。この後も臣下たちからの請願が相次ぎましたが、最後は王に究極の決定権があります。それが、王を頂点とする中央集権国家というものなのです。
粛宗は敢然と言い放ちました。
「死罪以外に他の方法はない」
粛宗は最後まで自分の意志を曲げませんでした。こうして張禧嬪の死罪が確定し、彼女は1701年10月に毒を呑んで絶命しました。

文=康 熙奉(カン ヒボン)

張禧嬪と粛宗について紹介している『いまの韓国時代劇を楽しむための朝鮮王朝の人物と歴史』(康熙奉〔カン・ヒボン〕著/実業之日本社)

康 熙奉(カン ヒボン)
1954年東京生まれ。在日韓国人二世。韓国の歴史・文化と、韓流および日韓関係を描いた著作が多い。特に、朝鮮王朝の読み物シリーズはベストセラーとなった。主な著書は、『知れば知るほど面白い朝鮮王朝の歴史と人物』『朝鮮王朝の歴史はなぜこんなに面白いのか』『日本のコリアをゆく』『徳川幕府はなぜ朝鮮王朝と蜜月を築けたのか』『悪女たちの朝鮮王朝』『宿命の日韓二千年史』『韓流スターと兵役』など。最新刊は『いまの韓国時代劇を楽しむための朝鮮王朝の人物と歴史』

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