朝鮮王朝の国王の中で一番長生きしたのは誰?

 

政治から見た朝鮮王朝の一番の特徴は、「王が統治する中央集権国家」だったということです。日本の江戸時代は、幕府が各藩の大名を支配するという封建的な幕藩体制が政治機構になっていましたが、朝鮮王朝は王の直接的な支配が国土の隅々に及ぶ中央集権体制になっていました。




在位期間が短いのは?

朝鮮王朝の頂点に位置する王は、今で言えば、大統領であり、総理大臣であり、最高判所長官であり、警察庁長官でした。すべての権力を握っていました。それだけに、「どんな王が統治していたか」ということは、その時代を理解する上できわめて重要です。
とにかく、王は激務でした。こなさなければならない仕事が1万種もあったと言われています。起きてから寝るまで執務に追われて疲労困憊だったようです。
27人の王の平均寿命は約46歳。当時としては最高の医療を受けて極上の食事をしたわりには長生きしていません。もっとも、運動不足と栄養過多で口内炎が多かったと言われています。むしろ、粗食のほうが長生きしたかもしれません。
王の中で最も在位期間が短いのは12代王の仁宗(インジョン)で約8カ月です。1年も玉座に座れなかったのですが、彼の場合は毒殺された可能性が高い、と言われています。継母が自分の息子を王位につけるために、血がつながっていない仁宗に一服盛ったというわけです。このような話が朝鮮王朝の歴史にはゴロゴロしています。




27人の中で「毒殺された」と噂されている王は何人もいます。それだけ王位争いが激しかったのです。
在位期間が最も長いのは21代の英祖(ヨンジョ)で約52年です。英祖といえば、『ヘチ 王座への道』で若い時の彼をチョン・イルが演じています。
この英祖は82歳まで生きて、長寿でも歴代王ナンバーワンです。現代の日本でならほぼ平均寿命ですが、当時の朝鮮王朝では大変な長生きでした。彼が1人で王の平均寿命をのばしたとも言えるでしょう。
なお、27人の王が518年間統治したという数値を平均化すると、在位は約19年ということになります。徳川幕府は1603年から1868年までの265年間で15人の将軍がいました。平均すると17年半。似たようなものですが、朝鮮王朝の王のほうが在位がちょっとだけ長かったことになります。

文=康 熙奉(カン・ヒボン)

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