ホン・ラオンの父と設定された洪景来(ホン・ギョンネ)は誰か?

 

ドラマ『雲が描いた月明り』でキム・ユジョンが扮したホン・ラオンの父になっていたのは、反乱の首謀者であった洪景来(ホン・ギョンネ/別の読みではホン・ギョンレとなる)であった。この洪景来とは、どういう人物だったのだろうか。

 

科挙に受からなかった理由

名君と称されたイ・サン(正祖)が1800年に亡くなり、朝鮮王朝は混乱するばかりだった。これは、政治を担った大臣たちが国を正しい方向へ導こうとせず、強い権力を求めて党争に明け暮れた結果であった。
その被害を最も受けたのが庶民であり、彼らはたまらず反乱を起こした。それでも政権は反省せず、どんなに有能な人材だろうとも、自分たちの意にそぐわない人間には、満足な官職を与えなかった。




特に西北人(大陸方面出身)の一派は徹底的に門戸を閉ざされた。当然ながら、不満を持つ者が続出した。
洪景来もその1人である。彼は何度か科挙に挑戦するが、その度に理不尽に不合格とされた。
それでも、なんとか生活しなければならない。洪景来は、土地の有力者に墓地にふさわしい場所を決めてあげて収入を得たり、子供たちを集めて学問を教えたりした。
ある日、同じく科挙を受けて合格した者たちと偶然にも学力を争うことになった。すると、彼らは自分よりはるかに知識が乏しかった。そこで洪景来はようやく、科挙に落ちた理由が自分の出身地であることを知った。
「科挙に受からなかったのは、実力がないからだと思っていた。しかし、それが出身地による差別だったとは……」
彼は、自分と同じ思いを持つ同志を集め、反乱を起こす準備を始めた。
(ページ2に続く)

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