苦難の人生を歩んだ貞明公主(チョンミョンコンジュ)の最期は?

 

貞明公主は夫の洪柱元(ホン・ジュウォン)との間に7男1女をもうけた。息子たちは立派に出世していった。一方、54歳で世を去った仁祖(インジョ)の後を継いで息子が17代王・孝宗(ヒョジョン)として即位した。

写真=韓国MBC『華政』公式サイトより




愛する夫との別れ

孝宗の後、朝鮮王朝の王位は18代王・顕宗(ヒョンジョン)、19代王・粛宗(スクチョン)へと移っていくが、貞明公主は王族の長老女性として丁重な処遇を受けた。特に、貞明公主は豪華な屋敷や広大な土地を所有し、裕福に暮らしていた。彼女がそのように暮らすことができたのは、母親の仁穆(インモク)王后がクーデターを起こした仁祖に大義名分を与えたからだ。
それによって、クーデターの正当性を証明することができた仁祖は、仁穆王后へのお礼として、貞明公主に広大な土地と豪華な屋敷を贈ったのである。
一方、貞明公主の夫の洪柱元は66歳で世を去った。貞明公主は、愛する夫との別れをとても悲しんだ。
1682年に79歳になった貞明公主は、自分の人生がもう長くないことを感じ、息子に次のような文を贈っている。
「私が願うのは、お前たちが他人の過ちを聞いたときに、まるで父母の名前を聞いたときのように耳だけにおさめて、口では言わないということだ。他人の長所や短所を取り上げるのが好きだったり、政治や法令を途方もなく言い争ったり……そんなことはとても憎むべきことである」




この文を読んでいくと、貞明公主が息子のことを心配する心優しい母親であることがわかる。
その貞明公主は、1685年に82歳で世を去った。
若いときには数々の悲劇に見舞われた彼女だったが、晩年には多くの幸せを感じることができただろう。

文=康 大地(コウ ダイチ)

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