9代王の成宗は、1485年に「経国大典」を完成させる。これは、朝鮮王朝の基本法典になった重要な法律書だ。成宗の功績は大変大きいと言える。その長男が悪名高い10代王の燕山君(ヨンサングン)である(燕山君については、韓国時代劇の史実とフィクションの違いを解説した康熙奉〔カン・ヒボン〕著・実業之日本社発行の『いまの韓国時代劇を楽しむための朝鮮王朝の人物と歴史』で紹介しています)。
姉の復讐
燕山君は最初こそ善政を行なうが、途中からおかしくなって酒池肉林に明け暮れて、さらに、気に入らない官僚たちを虐殺してしまう。
ここまで暴政がひどくなると、王朝の存続にかかわる。
「こんな王様じゃダメだ」
そう危機感をもった者たちが1506年にクーデターを計画した。
クーデターの中心人物が朴元宗(パク・ウォンジョン)だ。彼の姉は成宗の兄であった月山(ウォルサン)大君の妻だった。美貌で知られた女性だが、なんと燕山君が犯してしまったのである。その結果、月山大君の妻は自決してしまう。
あまりに悲しい出来事だった。月山大君といえば、燕山君の伯父である。その妻を辱めるというのは言語道断だ。
こんな男が長く王位に留まれるわけがない。
特に、朴元宗は月山大君の妻の弟だったから、姉の復讐を果たすためにも、クーデターを成功させなければならなかった。(ページ2に続く)