仁祖(インジョ)の狡猾な性格が貞明(チョンミョン)公主を追い詰めた!

崔鳴吉に救われた

最初に貞明公主の呪詛を疑ったのが1632年だったが、その7年後にまた仁祖は貞明公主の呪詛を取り上げた。
確かに、呪詛物(人骨や小動物の遺骸など)が寝殿から発見され、仁祖は貞明公主に従っている女官たちを厳しく調べた。
もはや、貞明公主の処罰は避けられない情勢になってしまった。
大ピンチに陥った貞明公主だったが、究極的に貞明公主を救ったのが高官の崔鳴吉(チェ・ミョンギル)だった。




崔鳴吉はこう力説した。
「貞明公主は宣祖(ソンジョ)大王の直系の王女です。もし、貞明公主を処罰したら、反正(パンジョン/仁祖の即位のきっかけになったクーデターのこと)の正統性はどうなってしまうでしょうか」
最終的に、貞明公主は崔鳴吉に救われたのである。
いずれにしても、母の仁穆王后が亡くなったあと、貞明公主は仁祖の豹変のせいで常に窮地に立たされていた。
そんな中でも夫の洪柱元に支えられて、7男1女をもうけた。
1649年に仁祖が亡くなったあとは、歴代の王に丁重に処遇された。そのおかげで、所有していた広大な土地を子孫に残すことができたのである。

文=康 熙奉(カン ヒボン)

仁祖と貞明公主について紹介している『いまの韓国時代劇を楽しむための朝鮮王朝の人物と歴史』(康熙奉〔カン・ヒボン〕著/実業之日本社)

康 熙奉(カン ヒボン)
1954年東京生まれ。在日韓国人二世。韓国の歴史・文化と、韓流および日韓関係を描いた著作が多い。特に、朝鮮王朝の読み物シリーズはベストセラーとなった。主な著書は、『知れば知るほど面白い朝鮮王朝の歴史と人物』『朝鮮王朝の歴史はなぜこんなに面白いのか』『日本のコリアをゆく』『徳川幕府はなぜ朝鮮王朝と蜜月を築けたのか』『悪女たちの朝鮮王朝』『宿命の日韓二千年史』『韓流スターと兵役』など。最新刊は『いまの韓国時代劇を楽しむための朝鮮王朝の人物と歴史』

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