イ・サン(正祖〔チョンジョ〕)の毒殺疑惑1

 

朝鮮王朝にいた27人の王の中で、ドラマ『イ・サン』の主人公になった22代王・正祖(チョンジョ)ほど学問に精通した王は他にいなかった。「学問の道に進んでいれば、大学者になっていたことだろう」。そう評価されるほど、正祖の文才と博識は際立っていた。




起きているための手段

正祖は、もともと頭脳明晰ではあったが、それ以上に大きかったのは夜通し読書にいそしんだことだ。といっても、ただの本好きではない。もっと切実に、夜に本を読まなければならない事情があった。
それは、寝ている間に暗殺されることを防ぐためだった。
世孫(セソン/王の正式な後継者となった孫)になって以来、常に命の危険にさらされていた彼は、寝る時間を少なくして自らの身を守ろうとした。読書は起きているための手段でもあったのだ。
正祖が即位したのは1776年だが、それ以降にも暗殺団が王宮に忍び込んでくることがあった。
国家として尋常な姿ではなかった。政権内部がいかに混乱しているかを象徴するような事態とも言えた。
「なんとしても改革を実行しなければならない。そうでなければ、党争に明け暮れている間に王朝が崩壊してしまう」




危機感をもった正祖は、大胆な改革に乗り出した。彼がめざしたのは、党争とは無縁の新興勢力を育成することだった。
しかし、それは当時の主流派閥であった老論派(ノロンパ)を大いに警戒させる結果を生んだ。
それだけ、正祖が毒殺される可能性が高まったのである。
(ページ2に続く)

イ・サン(正祖〔チョンジョ〕)の毒殺疑惑2

イ・サン(正祖〔チョンジョ〕)の毒殺疑惑3

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