朝鮮王朝の法律に沿って王が決定したように、王妃もまた厳格な法を適用されて決められていました。それだけに、王妃を廃妃にするのは容易ではないのですが、実際には多くの王妃が廃妃になっています。
写真＝植村誠
端敬王后の悲劇
廃妃となった主な王妃を見ていきましょう。
不運なのは、夫がクーデターで王位を追われたことで廃妃になったケースです。
１０代王・燕山君（ヨンサングン）の正妻だった慎（シン）氏、１５代王・光海君（クァンヘグン）の正妻だった柳（ユ）氏が該当します。
彼女たちには尊号が贈られませんでしたから、歴史的にも「廃妃・慎氏」「廃妃・柳氏」としか呼ばれません。
よって、“廃妃”という形容が永久についてまわるのです。
理不尽な形で廃妃となったのは、１１代王・中宗（チュンジョン）の最初の正妻だった端敬（タンギョン）王后です。
本人に落ち度はまったくなかったのですが、彼女の叔母が燕山君の正妻だった慎（シン）氏であり、父親も燕山君の側近だったことから、クーデターを成功させた高官たちから警戒されました。
その末に、中宗が望んでいないのに、高官たちによって廃妃が決められてしまいました。庶民から同情を多く集めたのも当然のことでしょう。
この端敬王后は時代劇『七日の王妃』のヒロインになっています。
（ページ２に続く）
『七日の王妃』の端敬（タンギョン）王后はどんな女性だったのか
粛宗（スクチョン）は仁顕（イニョン）王后を廃妃にするとき何を語ったか
粛宗（スクチョン）は張禧嬪（チャン・ヒビン）を死罪にするとき何を語ったか
