- 2019-2-4
- 韓国時代劇の登場人物
- 世祖, 朝鮮王朝, 歴史, 首陽大君
首陽大君のための政権
癸酉靖難で殺されなかった人たちも、後々になって多くが死んだ。反逆者にされた人の家族や親戚にも重い刑罰がくだされた。
反逆者の父と15歳以上の息子は殺され、14歳以下の息子は官奴(官庁に属する奴隷) になり、また反逆者の妻や娘や妾たちはみんな功臣たちの所属になった。つまり、女性は自分たちの仇のもとに送られたのだ。
政変の次の日、首陽大君は王朝のすべての政治的権力を手中におさめた。彼が得た官職は、それ以前もそれ以後も誰も持てなかったほど強力だった。いわば、総理大臣であり王の顧問であった。
また、政府の人事権と国の軍事統帥権も握っていた。一応、王が任命するという形は取っていたものの、常識的には存在できない、いや、存在してはならないほどの職責を首陽
大君は独り占めにしたのだ。
それに加えて、首陽大君は特別に王室護衛部隊100人の警護も受けるようになった。すでに臣下の地位は越えたともいえるだろう。
同時に、首陽大君と共に政変で功を立てた人たちは、信じられないほど出世した。これで、首陽大君の意のままに動く新しい政権が誕生した。
文=康 熙奉(カン ヒボン)
康 熙奉(カン ヒボン)
1954年東京生まれ。在日韓国人二世。韓国の歴史・文化と、韓流および日韓関係を描いた著作が多い。特に、朝鮮王朝の読み物シリーズはベストセラーとなった。主な著書は、『知れば知るほど面白い朝鮮王朝の歴史と人物』『朝鮮王朝の歴史はなぜこんなに面白いのか』『日本のコリアをゆく』『徳川幕府はなぜ朝鮮王朝と蜜月を築けたのか』『悪女たちの朝鮮王朝』『宿命の日韓二千年史』『韓流スターと兵役』など。最新刊は『いまの韓国時代劇を楽しむための朝鮮王朝の人物と歴史』。
決起した首陽大君(スヤンデグン/世祖〔セジョ〕)は何をしたか
首陽大君(スヤンデグン)が起こした癸酉靖難(ケユジョンナン)とは何か
首陽大君(スヤンデグン/世祖〔セジョ〕)はなぜ政変を起こしたのか
首陽大君(スヤンデグン)は弟の安平大君(アンピョンデグン)を悪意で死罪にした!