- 2020-12-3
- 韓国時代劇の登場人物
- 朝鮮王朝, 歴史, 申師任堂
偉大な女性
夫は生活力のない男で、日々の暮らしは苦しかった。そんな中でも、申師任堂は子供たちをりっぱに育て上げた。“ダメ男”の典型だった夫もようやく一念発起して、「科挙に受かるまで戻ってこない」と決意して故郷を後にした。
しかし、夫は挫折してすぐに帰ってきてしまった。
このとき、申師任堂が取った行動が語り草になっている。彼女は裁縫箱からハサミを取り出して、それを喉に当てた。
「あなたが約束を守れないなら、私は死にます。もう、この世に未練はありません」
夫は驚愕し、必死に妻を止めた。そして、自らの至らなさを詫びて、今度こそ念願の科挙に受かるまで自宅に戻ってこなかった。
この逸話には尾ひれが付いているかもしれないが、いやはや申師任堂はとてつもない烈女である。
「もし妻が申師任堂のようだったら……」
首筋が寒くなる男性も多いのではないだろうか。
ところで、申師任堂の息子が、儒学の大家の李珥(イ・イ)である。彼は5千ウォン紙幣の肖像画になっている。
母と息子がともにその国の紙幣を華々しく飾っている例は、世界でもほとんどないかもしれない。
そう思えば思うほど、申師任堂の偉大さが身に迫ってくる。