黄真伊(ファン・ジニ)/朝鮮王朝美女物語1

朝鮮王朝時代に名をとどろかせたもっとも有名な妓生(キーセン)だった黄真伊(ファン・ジニ)。妓生とは、歌や踊りで男性を接待する職業の女性を指す。黄真伊の正確な出自はわからないが、関係のあった人物から推測すると、11代王・中宗(チュンジョン)の時代から14代王・宣祖(ソンジョ)の時代あたりに生きていた人物と考えられる。彼女はいったいどんな女性だったのか。

妓生になった理由

黄真伊は、役人と妾の母の間に生まれるが、物心つく前に父は家族を捨ててしまう。残された母は、女手一つで彼女に徹底的な英才教育を施した。黄真伊は7歳で文字を覚え、9歳になるころには難しい漢文を読み、自ら漢詩を作る才女となった。
美しく成長した黄真伊は、蔑視を受けながら一生を過ごすより、男尊女卑の束縛から逃れて自由に生きることを望む。しかし、それは、当時の社会では実現が到底不可能だった。ならば、と彼女は、自分の力でのし上がれる妓生になる道を選んだ。




当時は、一度妓生になると、一生その世界から逃れることはできなかった。
しかし、身分の高い男たちと接する機会が多く、冨を得るチャンスもあったため、美貌や芸に自信のある上昇志向の強い女たちが、この道を選ぶことが多かった。
優れた教養で詩や芸の才能を開花させた黄真伊は、その美貌もあって一気に知名度を高めた。その人気ぶりは、彼女を一目見ようと、各地から多くの客が訪れるほどだった。(ページ2に続く)

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