廃された世子
一度は怒りのあまり息子を突き放した英祖だが、その心にはまだ息子を信じようとする気持ちが残っていた。しかし、荘献の悪事を指摘する声が消えることはなかった。決心をして荘献を呼び出した英祖は、息子に自決を命じた。
荘献は顔が真っ青になり反省の意を示した。そのときに額を地面にこすり付けていたため、額から血が出ていた。その血を見た荘献は恐怖に震えていた。洪鳳漢を初めとする重臣たちが英祖の前に集まったが、もはや彼らもどうしようもできないほど英祖の怒りは強かった。
さらに、荘献の息子の祘(サン)も「父上を許して下さい」と懇願したが、英祖は考えを変えず、祘はすぐに帰されてしまった。かなり追い込まれていた英祖は、刀を振り回しながら荘献に近づいていった。あまりの恐怖に冷静さを失った荘献は覚悟を決めて自決しようするが、側近たちがそれを必死に止めた。
その側近たちの行動を見て激高した英祖は、側近たちをすべて追い出した後、荘献を世子の立場から外して、史官(正式な記録を残す官僚)に正式な文書として残すように要求した。
(第4回に続く)
文=康 大地〔コウ ダイチ〕
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