貞熹(チョンヒ)王后/朝鮮王朝美女物語11

7年間の政治代行

貞熹王后の決定には疑念がもたれた。
そのとき、貞熹王后は51歳だった。夫をけしかけて政変を起こさせたほど勝気な女性は、今や権力に固執する政治的な女性に変貌していた。
彼女が二男を選んだ理由はただ一つ……12歳の少年であれば自分が代理で政治を行なえるからだった。
その少年が9代王の成宗(ソンジョン)だった。
成宗はわずか2カ月で父(懿敬)が他界したため、父の顔を知らずに育った。



不憫(ふびん)に思った貞熹王后は、成宗が小さいときからよく可愛がった。成宗も祖母の貞熹王后によくなついていて、彼女の政治代行を不満もなく受け入れた。
貞熹王后は7年間にわたって政治を仕切ったあと、19歳になって一人前になった成宗に政治を委ね、潔く身を引いた。
晩年は温泉に入ることを楽しみながら過ごした。
亡くなったのは1483年。温泉地を訪ねていた65歳の貞熹王后は現地で息を引き取った。実に静かな終わり方だった。

文=康 熙奉(カン ヒボン)

韓国時代劇に出てくる朝鮮王朝の歴史がよくわかる康熙奉(カン・ヒボン)著『いまの韓国時代劇を楽しむための朝鮮王朝の人物と歴史』(実業之日本社/900円+税)

康 熙奉(カン ヒボン)
1954年東京生まれ。在日韓国人二世。韓国の歴史・文化と、韓流および日韓関係を描いた著作が多い。特に、朝鮮王朝の読み物シリーズはベストセラーとなった。主な著書は、『知れば知るほど面白い朝鮮王朝の歴史と人物』『朝鮮王朝の歴史はなぜこんなに面白いのか』『日本のコリアをゆく』『徳川幕府はなぜ朝鮮王朝と蜜月を築けたのか』『悪女たちの朝鮮王朝』『宿命の日韓二千年史』『韓流スターと兵役』など。最新刊は『いまの韓国時代劇を楽しむための朝鮮王朝の人物と歴史』

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