疑心暗鬼に陥った中宗
高官たちは趙光祖の失脚を狙った。
その実行計画は実に手が込んだものだった。何をしたかと言うと、王宮の庭に生えていた葉っぱの一つに蜂蜜で「走肖為王」という文字を書いたのだ。
しばらくして虫が蜂蜜の部分だけを食べると、鮮明に文字が浮かびあがってきた。「走肖」とは「趙」のことであり、この四つの漢字には「趙光祖が王になる」という意味が込められていた。
この葉を仕込んだ者たちが、意図的に大騒ぎを始めた。
「趙光祖が王位を狙ってわざと葉っぱに細工をしたぞ」
その騒ぎは中宗の耳に入った。
王である自分をさしおいて臣下の趙光祖が王位に就く、という内容には、さすがの中宗も驚いた。
「まさか、あの趙光祖が……」
結局、中宗は趙光祖を最後まで信頼できなかった。
その空気を逃さず、趙光祖の対抗勢力は中宗に訴え出た。
「趙光祖の一派が王位を狙うような動きを見せています。彼らを絶対に排除しなければいけません」
中宗はすっかり疑心暗鬼に陥った。
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